看護師の転職情報を見ていると「オープニングスタッフ募集！」という文言を見かけることがあるかと思います。オープニングスタッフとは、新病院を開院する際に、既存スタッフでなくその新しい病院運営のために新たに雇用する従業員のこと言います。病院・施設側もアピールポイントの一つとしています。また開院にあたっては、通常より待遇がよかったり、丁寧な事前研修が行われたりすることもあり、いいことずくめと思えるオープニングスタッフですが、その求人の実態について確認してみましょう。
オープニングスタッフにはメリットが多い？
上下関係がなくて人間関係はラク？
転職を考えたきっかけの上位には、必ず「職場の人間関係が合わない」というのがランクインします。仕事は毎日のことなので人間関係は大切ですよね。仕事をしていれば、誰しも人間関係について一度は悩んだ経験があるかと思います。
転職先を検討する場合も、「合わない上司がいるかもしれない」「先輩とうまくやっていけるだろうか」等の心配事があるかと思いますが、オープニングスタッフとして雇用されたスタッフはみんな同期です。年齢や経験の違いはあるものの、その病院でのスタートラインは同じなので、先輩への気遣いや派閥で悩む必要がありません。オープンまでの取り組みで一体感が生まれやすいことも多く、スタッフ同士の関係は通常の転職と比べて構築しやすいです。
採用率が高いってホント？
新規に病院をオープンすると、看護師だけでなく、他の医療スタッフや事務スタッフも含め、すべて一から確保していかなければなりません。そのため、開院までの限られた期間に大量に募集がかけられるケースが多いので、必然的に採用率も上がります。
もちろん看護師という職種上、即戦力が求められるケースがほとんどなので対策は必須です。履歴書はしっかり準備し、自己PRでは前職の経験を語ることが一番のアピールポイントになります。ブランクがある場合は、初心に戻り改めて仕事を覚えていく意欲があることを伝え、「新しい病院で新しい仲間と、どんな病院を作っていきたいのか」を説明するといいでしょう。事前に病院WEBサイトを見るなどして情報収集し、他の病院との差別化のポイントをあらかじめ把握しておきましょう。なぜその病院で働きたいのかを伝えることで、志望度が高いことをアピールできます。
ブランクがあっても応募できる？
看護師だけでなく、医療スタッフ全般や事務スタッフも含めて、すべてが一からのスタートとなるので、ルールやマニュアルも新規に作成されます。看護師に限らず病院全体として、通常よりも丁寧な研修が行われているのがほとんどです。看護師に求められる技術面だけでなく、対応やマナーについても、基本から学べる部分は多いです。
ライフイベント等で現場から離れてしまい、「ブランクがあって不安だな…」「久々で病院のスピードについていけるかな…」と感じ、通常であれば仕事を覚えるのが精一杯のブランクナースが復職するには、オープニングスタッフはとてもいいきっかけとなります。
通常より高待遇？ 好条件？
看護師だけでなく、医療スタッフ全般や事務スタッフも含めて、すべてが一からのスタートとなるので、ルールやマニュアルも新規に作成されます。看護師に限らず病院全体として、通常よりも丁寧な研修が行われているのがほとんどです。看護師に求められる技術面だけでなく、対応やマナーについて開院までに即戦力スタッフを採用する必要性があるので、オープニングスタッフは給与が高めに設定されていたり、福利厚生がしっかりしていたりと好待遇であるケースが多いです。通常の転職では規定の雇用条件があって交渉は難しいこともありますが、新規オープンの病院であれば、勤務時間や給与、福利厚生や待遇など、条件面でも交渉の余地があります。開院にあたって優秀な看護師を採用したいというのも背景にあります。正規職員の応募でない求人でも、時給が高めに設定されているので、確認してみてください。
また「新規開院」だけでなく、「改築」等で「増床」する病院は経営も安定しており、安心して長く働ける病院が多いようです。また、新しい施設は清潔でやはり気持ちのいいもの。施設や物品の劣化で悩むことも少ないので、気分を入れ替えて新たな気持ちで頑張る意欲が湧くのではないでしょうか。
オープニングスタッフにデメリットはある？
マニュアルやルールが決まってない？
スタッフ全員が同じスタートラインに立って仕事をすることから、誰かを頼るということができません。その病院におけるベテランはいません。現場でのトラブルやイレギュラーな事態が起きた際、近くに聞ける人がおらず迅速に対処できないことも発生する可能性はあります。突発的なことでも臨機応変に自分が対応するという心構えが大切です。
大規模な病院であれば、グループ病院や運営母体が同じ病院からリーダーが派遣されるケースもあるので、ある程度のマニュアルは設定されています。一方で小規模な病院やクリニックの完全な新規オープンについては、すべて一からのスタートとなります。
仕事量が多い？ 忙しい？
マニュアルやルールが決まっていないため、自分がこなすべき仕事の量が明確に決まっていない場合もあります。仕事を進めながら決めていくケースが多いです。また人員配置も固まっていないことから、看護にかかわらないような事務仕事をする必要があることも考えられます。大前提として、開院日には患者様を受け入れる体制を間に合わせなければいけないので、準備段階でも忙しいことが多いです。さらに、オープンしたばかりの病院は話題性もあり、宣伝もしているので、多くの患者様が押し寄せることもあります。そのため、オープンしてしばらくは忙しい日々が続き、病院によっては思うように休みがとれないということもあるかもしれません。
ベテランにしわ寄せがあるの？
新規オープンの病院では、経験による臨機応変さが求められるため、経験を積んだベテラン看護師は、スタッフから相談されることが多く、業務も多くなる傾向があります。病院の体制によっては、自分の領域外の仕事で残業することがあるかもしれませんし、ベテラン看護師であれば対応できることも、経験の浅いスタッフは戸惑ってしまうことがあるかもしれません。
しかし、関わる領域が広がれば広がるほど、若い看護師たちの成長を間近で見ることもできます。新しい病院とともに成長する看護師の姿に感動を覚えることも、ベテラン看護師の醍醐味の一つです。「将来は管理職になりたい」というタイプであれば、新規オープンの病院を軌道に乗せたその手腕は、マネジメント能力として上司に評価されるチャンスにもなります。
そもそも求人があるの？
「オープニングスタッフとして働きたい」と思っていても、通常の求人と比較すると圧倒的に少ないです。転職を決断してからこのような好条件の求人を探すのは至難の業です。看護師というのは資格職で永久ライセンスであり、業務はどの施設でも大きくは変わりません。
だからこそ、職場の雰囲気・人間関係・待遇・労働条件等が重視されるのです。今の時代、生涯一つの職場で働き続けるケースは看護師に限らず減少しています。ライフイベント等も含め、柔軟に働き方を変化させる時代です。転職の可能性がゼロではないのであれば、よりよい条件で転職をしたいですよね？ 文化放送ナースナビ人材バンクでは「オープニングスタッフ」をはじめとした、好条件の求人案件を多数紹介可能です。
オープニングスタッフ応募の際の注意点
オープンまでの研修やスケジュールをチェック
オープニングスタッフの場合、研修も開院後に実施されると考えている人も多いかと思いますが、開院前は他病院で研修を行うケースが多いです。面接時には、オープン前研修がどこで行われるのか確認しておきましょう。研修実施病院では、他の先輩スタッフの動きやマナー・連携の取り方なども参考になります。実際に働く病院は別でも、同系列の病院のマニュアルは、新病院のマニュアルのベースになることが多いからです。また、オープン前に系列病院で先行して働き始めることができる等、開院前に時間を置かずに転職したい希望を叶えることができる場合もあります。
研修中の給与や待遇をチェック
研修時間も給与は支給されます。雇用契約で定められており、その研修への参加が必須であれば当然に労働時間とみなされますので心配する必要はないでしょう。病院によっては、オープン前研修中とオープン後の給与が異なる場合もありますので、契約内容をしっかりと確認しましょう。
病院の運営母体をチェック
病院の運営母体としては、大学、医療法人、自治体、公的機関、赤十字社、企業、個人などさまざまです。病院の経営方針や人事評価・教育システム、給与体系、職場の雰囲気などは運営母体によっても大きく異なります。昨今では経営難の病院も多いため、何かあったときに支えになる病院の母体を調べておくことが大切です。
設置者が医療法人や社会福祉法人であれば、設立にも厳格な基準があるため、運営にトラブルがある可能性は低いといえます。クリニックや介護施設等の小規模施設でも、上記のような法人の傘下にあれば、特に心配する要素はありません。運営母体は、経営方針から現場の職員の働き方にいたるまで影響がありますので、病院の経営状況と併せて確認しておきましょう。
診療科や特徴を調べる
オープニングスタッフに応募することを決めたら、自分の得意分野から求人を探してみましょう。開院が決定している病院は必要なスタッフ数を確保するので、求められている知識や技術・経験を持ち合わせていれば、採用される可能性は高いです。
未経験の診療科へ転職する場合は、イメージ先行型の転職になりやすいので、憧れやイメージ、友人や同僚から聞いた話だけで判断せず、事前にしっかりと情報収集をされることをおすすめします。入職後に現実とのギャップに悩まないためにも、しっかり確認してください。施設認定・第三者認定、付属施設等も確認し、病院の特徴を調べましょう。
病院のオープニングスタッフに向いているのは？
創意工夫が好き！
新しい病院は創意工夫を重ねて、より業務がやりやすいように臨機応変に対応していくことが可能です。オープニングスタッフとして働く場合、ある程度のマニュアルなどは存在するにしても、職場の雰囲気においても固定化された空気感や人間関係はありません。そのため、看護師同士のルールや業務においての連携の仕方などをそれぞれがやりやすいように改善していく余地が多い職場になります。些細なことでも職員が意見を出し合い、作り上げていくことができ、それがやりがいや達成感へとつながります。
小規模なクリニックや病院であれば、より細かい決めごとが多く、「薬の仕入れ先や制服、休憩時間等、何もかも一から決めた」という経験者の声もありました。その分働きやすい環境を整えやすいという利点もあり、自由度も高いといえます。
自分で考えて行動したい！
オープニングスタッフは、人間関係も業務量もわからないことが多い状態でスタートします「とりあえず決まったルールやルーティンに従えばいい」「先輩の指示通りに動けばいい」という考え方だと難しいことが多いです。言われたことをこなすだけでなく、周囲のスタッフに報告･連絡･相談しながら、自分で直面している状況やトラブルに「どう対応したらいいか？」「自分ならどうしたいか？」を考えながら業務に取り組む自主性や主体性が必要です。
地道にコツコツ積み上げるのが好き！
新しい病院を一から自分の手で作り上げる醍醐味があるともいえる、オープニングスタッフの仕事。スムーズに業務が流れるようなルールを確立したり、マニュアルを作ったりと、地道な作業も多くなります。初めて来院した患者さんに対するマナーや対策など、看護師業務以外の仕事も多数発生します。縁の下の力持ちといえるポジションが好きな人には最適だと思います。新たな病院が軌道に乗っていくまでの成長過程に立ち会いたいと考えるのであれば、オープニングスタッフに適性があるといえます。
